ブランディングは高単価商品に限った取り組みではない

先日、クライアントとブランディングの重要性について、改めて議論することがありました。そこでお話させていただいたのは、商品を選ぶことが「難しい」時代になった、という話題です。

僕は先日、妻がドライヤーを買い替えたい(厳密に言うと、妻が床に落として壊した・苦笑)というので、家電量販店に行きました。すると、そこにはズラリとドライヤーが並んでいます。僕の目でわかるのは、色や値段の違いくらい。機能面は色々と書いてあり、読むと内容は理解できるのですが、果たして自分たちにとってどれが最適な商品なのか、わかりません。で、次にどう考えたか…「ブランド」です。

売り場で僕が認知していたブランドは「Panasonic」くらい。(ダイソンもありましたが、これは高くて買えません・笑)他にも、ヴィダルサスーンは聞いたことあるけど、家電としてはどうなの?となり、コイズミも聞いたことはあるけど…というレベル。こうなると認知しているブランドは「Panasonic」だけとなり、結果的にPanasonicのマイナスイオンやらナノイーが出るというモデルを購入しました。

価格や商品自体のデザイン・スペックも購入理由になりますが、僕の中にある『日本の安心できる家電メーカー』という知識と、ここ数年は美容家電にも力を入れているイメージ(テレビCMやウェブで見ていた)が、Panasonicさんに絞った大きな要因となったのです。

見た目や機能面での差別化が難しくなり(技術的には大きな違いがあっても、消費者視点ではあまりわからない)、価格もピンキリ、見た目も変わらない。価格の差はあれど、顧客ニーズはそれだけではありません。しかし、やれ性能だ、やれ見た目だ、となると差別化が難しい時代。

これは家電に限らず、どんな業界にも言えることかと僕は思います。日頃から生活者の目に触れる場で、伝えたいメッセージをしっかりとブレずに発信し続けることが、いかに大切か。その過程において、生活者は頭の中にその企業や商品のイメージを無意識に形成したり、記憶したりしています。

広告の打ち出しが毎回バラバラ、部署やスタッフによって微妙に異なる名刺のデザイン、高価な商品なのにチラシが自作で安っぽい、広告の会社なのにメールがフリーメール、パンフレットとウェブサイトのデザイン・メッセージがぜんぜん違うなど、ちょっとしたブレ・ズレがブランディングの失敗につながり、顧客は「違和感」「不信感」を抱いてしまう…。こんな事例は山のように存在しています。

人も企業もお店も、歴が長くなればなるほど、その歩み方にズレやブレが生じてくるものだと思います。「あれ?これでいんだっけ?」というタイミングで、一度原点に立ち返り、生きる目的(営む目的)を見直してみる、そんな時間が必要だと僕は思います。


※写真は先日見に行った「Miniature Life展」での一コマ。夢のある作品、大好きです。

marron life

鹿児島で広告・印刷物・ウェブサイトのディレクション業務に従事する三十路のブログ。家族は妻と子ども3人です。家のこと、子育てのこと、鹿児島のこと、何でもかんでも書きなぐります。

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